主人公が目を覚ますと奴隷として売られるシーンから始まります。主人公はその世界では「結界師」と呼ばれる能力の適正を持つ少年へと転生してしまったのです。結界師を求めるバーサーム侯爵家は主人公を買取り専属の結界師として育てることになります。
奴隷として始まった最悪な転生生活ですが、バーサーム侯爵家では良い主と師に恵まれ恵まれた生活を送ります。結界師として著しい成長を続け、その力は誰もが認めるものとなり奴隷解放を受けてバーサーム侯爵家の家族の一員となる…はずでした。
結界師への転生の感想
単行本 1巻はファミリー愛に溢れた温かい話で構成されています。ストーリー的には優しいバーサーム侯爵家に少年だった主人公が青年になるまで育ててくれるだけになります。ゆっくりと進む話の中でこのマンガの世界観がなんとなくわかるようになっています。
結界師というその名の通り、結界に特化した特殊な能力の才能があった主人公は順調に強くなり王族にも認められる力を持つまでに至ります。
1巻は5話まで掲載されていますが、全て主人公とバーサーム侯爵家の良い関係の話でまとまっています。私としては強くなった主人公がお城に務めてこれから強い敵や難題へ立ち向かっていくんだろうな〜と思っていました。
2巻から一気に主人公の生活が崩壊します…
いい意味で裏切られました
どうなるかは実際に読んでほしいのでネタバレしませんが上げといて急に落とすのは心臓に悪いです。続きが気になりすぎてスワイプする指が止まりませんでした。
2巻以降からは主人公は独り立ちして、新たな仲間を増やしつつ拠点を構えて結界師の能力を活かしながら仕事を続けていきます。1巻はあくまでも主人公とバーサーム侯爵家の話でしたが、2巻からは主人公と暮らしている世界の問題と関わる話しへと切り替わります。
全体を通してストーリーの魅力が高くなっています。原作のおかげもあると思いますが、絵や見せ方が上手いからこそ面白いマンガになっていると思います。
結界師への転生の魅力
絵の魅力
- 線も見やすく上手いです
- 背景もしっかりと描かれています
- 美人がちゃんと美人です
- 年齢の描き分けが上手いです
絵の巧さはかなりレベルが高いです。劇画調ではなく綺麗な線とスクリーントーンが駆使された絵ですがとても見やすです。人体も違和感がないのでキャラクターの息吹を感じ取れます。
主人公は魔法職ですが実際に魔法が使われる機会が少ないため、1巻は特に見る機会が少ないですがどのような魔法なのかよくわかります。
上手いなーと思ったのが人物の描き分けです。多種な年配者を描き分け、王は威厳を感じ、かと思いきや少女も上手いです。特に私的に高評価を取りやすい動物も可愛いく描けています。リアル調なのに可愛いのは最高です。
美人がちゃんと美人って大事
ストーリーの魅力
- 丁寧に進みます
- 無駄な話がないです
- 意外と結界師的な話がない
- 戦闘が少なめです
いわゆる「なろう系」によくあるようなご都合主義の展開などは少なめで、勢いだけで解決するようなパターンもありません。よく冒頭の特殊スキルの説明だけが特徴的であとは典型的なテンプレマンガが多い中、ちゃんとした物語が進みます。
異世界転生でよくあるような奴隷や主人公がとても強いといった要素があるものの、なろう系として雑に区分するようなストーリーではありません。
その世界でも特別な存在である結界師としての話は意外と少なく、結界師というブランドが先行して主人公を特徴づけている部分がありますが物語としてはしっかりとしていて楽しめるものになっています。
結界より攻撃や回復ばかり目立ってる気がします
キャラクターの魅力
- それぞれの個性が違うのでキャラクターがわかりやすいです
- 高齢者が良い空気感を持っています
- 仲間のキツネがいい味を出しています
マンガにはモブと呼ばれる背景に登場するエキストラ的なキャラクターがいますが、このマンガではそのモブにも役割があるように見えるほどしっかりと描かれています。
メインに出てくるキャラクターの殆どが善人だからでしょうか、悪役が出てきた時にギャップのおかげか本当に悪そうです。
お気に入りのキャラはキツネのゴンです
たまに見せる変顔がたまりません
こんな人にオススメ
絵のクオリティが高い
シナリオ性が高い
動物が可愛い
女性が美人
おっさんが渋い
悲劇的なシナリオ
ファンタジーファンなら読んで損なし
純ファンタジー寄りの異世界転生モノ
導入は異世界転生モノとして始まるものの、その後はほぼ意味のない設定になります。転生したことを切り離してしまえば独創的な西洋ファンタジー系マンガです。奴隷制度などよくある要素があるもののテキトーな世界観ではないためストーリーを楽しめると思います。