『雑用付与術師が自分の最強に気付くまで』は、付与術師としてのサポート役に徹していたヴィム=シュトラウスが主人公の物語です。彼はある事件をきっかけに、自身が所属していたパーティーから追放されてしまいます。その後、幼馴染であり、病的なほどの執着を見せるハイデマリーの紹介で、最大手パーティー「夜蜻蛉」に勧誘されることになります。ヴィムは自分の功績を偶然と考えていますが、周囲は彼の実力を徐々に認識し始めます。
物語の中で、ヴィムは様々なキャラクターと出会います。ハイデマリーは「賢者」の74代目で、ヴィムの長年の友人であり、彼女の紹介でヴィムは「夜蜻蛉」に加わることになります。カミラは「夜蜻蛉」の団長で、非常に高いリーダー資質を持ち、ヴィムに感謝と強い期待を寄せています。一方、クロノスはヴィムが以前所属していたパーティー「竜の翼」のリーダーで、彼の追放理由はクロノスの子供じみた逆恨みによるものです。
この物語は、追放された主人公が新たな場所で自分の価値を再認識し、成長していく過程を描いています。
『雑用付与術師が自分の最強に気付くまで』は、戸倉儚によるWeb小説が原作で、アラカワシンが漫画化を手掛けた作品です。マンガ版は「マンガがうがう」で連載が開始されました。小説は「小説家になろう」での連載を経て、双葉社から書籍化されました。この物語の中心は、一見地味な役割の付与術師であるヴィム=シュトラウスが、自分の内に秘めた力と真の価値を発見していく過程です。彼の旅は、追放という逆境から始まりますが、これが彼にとって新たな始まりとなり、真の力を発揮するきっかけとなります。
この作品の舞台背景はファンタジー世界で、魔法や異能力が日常の一部となっています。ヴィムは当初、自分の能力をさほど重要ではないと見なしていましたが、物語が進むにつれて、彼の能力がどれほど特別であり、彼自身がいかに強力であるかが明らかになります。彼の成長と共に、友情、信頼、そして自己受容のテーマが掘り下げられます。
雑用付与術師が自分の最強に気付くまで
の魅力
キャラクターの魅力
陰キャだけど実力は本物
- ヴィム=シュトラウス:主人公。自分の強さを認識できずにいたが、特殊な付与術の才能を持つ。
- ハイデマリー=リョーリフェルド:ヴィムの幼馴染で「賢者」の74代目。ヴィムに病的なまでの執着を見せる。
- カミラ:「夜蜻蛉」の団長。強力なリーダーシップと戦闘能力を持つ美しい女性。
- アーベル:「夜蜻蛉」の盾部隊長。ヴィムの能力を高く評価し、尊敬している。
一般的には嫌悪感をもたれやすい主人公の性格ですが、クラン「夜蜻蛉」のメンバーは主人公ヴィムの能力を認め、頼りになるメンバーとして受け入れてくれます。もともと雑用として酷使されていたクランとの対比で余計に良い待遇を受ける事に重点を置かれているようにも思えます。
一般的な主人公とはかけ離れて、ビクビクしているヴィムですが徐々に戦闘への意欲が垣間見えていきます。
追放系の異世界物としてテンプレになる要素はふんだんにあります。酷使される主人公は実は実力があり、追放された後に有名なクランに所属して活躍していく。元いたクランは主人公のサポートが無くなることで失墜していきます。
追放物としてのテンプレはありますが、付与術師の特殊性は他の作品と一線を画しています。魔法として単純にブーストするわけではなく、受けた側の身体の限界を超える能力を付与できない事や、バフを得ることで違和感を覚え逆に戦いづらくなるなど少しリアリティを感じるような設定になっています。それらの問題点を工夫して対象者に違和感を感じさせず通常以上のバフを与えることができる主人公はクランメンバー全員の戦闘力を底上げでき、新たな未踏破階層へ攻略を進めていきます。
追放側のクランのストーリーも多く、徐々に権威性が低くなっていく様を見届けることができます。
ストーリーが進むに連れ、主人公のヴィム自身の戦闘に対する意欲が露出し始めます。自身のバフにより人外といえる戦闘能力を発揮し始め、次々と訪れるピンチを解決していくギリギリの感じにワクワクします。序盤はサポートとしての能力が高いという証明するシーンが多く退屈になりがちですが、実は主人公が戦闘に特化すればとても強いのでは…?と主人公と読者それぞれが発見していきます。
主人公の付与術はチートとも言える強力なサポート魔法ですが、工夫して多重にバフを付けます。例えば人それぞれの体格を考慮しつつ、関節一つ一つにバフをかけるなど。それが出来てしまうことはチートとも言えますが、ギフト的なチート物では無いことも評価の高い点です。
こんな人にオススメ
バフ
陰キャ
ダンジョン
最下層
理系
追放系の異世界ファンタジーが好きな人には、その分野でかなり上位の好きなマンガになるでしょう。あくまでもサポート系ですが、自身にももちろんバフをかけることができるため主人公自体もバトルに参加します。実際に主人公が活躍するのが好きな人にもオススメです。
攻撃魔法ももちろんありますが、バトルの多くが脳筋的な戦い方が多くなっています。スピード感と重量感のあるバトルを楽しみたい人にもオススメです。
- 貸した魔力は【リボ払い】で強制徴収~用済みとパーティー追放された俺は、可愛いサポート妖精と一緒に取り立てた魔力を運用して最強を目指す。
- 追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。 ~俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?~
- 勇者パーティを追い出された器用貧乏 ~パーティ事情で付与術士をやっていた剣士、万能へと至る~
- 真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました
オススメしない
主人公の性格がかなり暗い系のキャラクター性になっているので、その性格を認められない場合は読み進めるのが辛くなるかもしれません。
また、1からダンジョンを攻略するのではなく、最高階層を更新していく内容になるため少しずつ成長していくマンガが好きな場合は合わない可能性があります。ピンチになるシーンが多いですが、バトルは強力で大きなモンスターが主体になっているためボス戦ではなく道中も楽しみたい場合は肩透かしを受ける可能性があります。
口コミ
補助呪文の重要性について思いを述べています。幼少期にゲームをしていた際、武器や防具の選択が攻撃力や守備力だけでなく、属性特効や素早さ、バフデバフの利用などに影響されることに気付いたと述べています。また、作品の補助呪文に焦点を当てている点や主人公のアンニュイな表情に惹かれたこと、敵のグロさや戦闘狂のカミラさんの魅力に触れ、現在5巻まで読んでいるが最新巻が出たら買うつもりだと述べています。
単純に自信のない主人公が周りに認められていくようなシンプルな話ですが、漫画の構成が読みやすくて、サクサクと読めるがとても良い。
いわゆる理系男子的な主人公が実は最強だったという、刺さる人には刺さる設定でワクワクします!
キャラクターの顔立ちがぎこちない所もありますが、物語の展開とよく画き込まれた背景に引き込まれてしまいます。 最近は、背景もろくに描かれていない白幕お遊戯みたいな粗製乱造なお人形絵に、テンプレ寄せ集めで文章力が子供並みな原作ばかり跋扈しているが、本作はワクワクする。
お金を出す価値がある。